腱引きとは?
腱引きってなあに?
はるか昔の江戸時代以前、人々は、腰が痛い、膝が痛いなどの症状があらわれると、土地の武術家の元を訪ね、その施術を受ける事によって多くの症状を改善させていました。
武術家は人体の急所や生理的反応を利用して、相手の戦闘能力を奪うことを普段から研究し、そういったノウハウを伝承していました。そしてその逆に、攻撃により立ち上がれなくなったり、衝撃で気を失ってしまった場合に、いかに早く復活させるかも重要な問題でした。前者の技術を「殺法」と呼び、後者を「活法」と言います。
レントゲンやCTの無い時代、それに解剖学の知識も今よりずっと遅れた時代だから、大したことは出来なかったとお考えでしょうか? いいえちがいます。普段から生身の人間に直接ふれており、そしてそれが戦場で生死に直結する技術であるからこそ、「殺法」「活法」ともに、即効性と確実さが厳しく要求されたのです。
その技術をもつ武術家の手当を受けていたからこそ、多くの里人は文字どうり、医者いらずの生活を送ることが出来たのでしょう。
しかし、時は明治に移り、政府の方針として西洋医学を取り入れることとなった時、この「腱引き」や「活法」の技術は、その効果の高さもあってか、次世代へと伝承することを禁じられてしまいました。
そして現代では、例えば腰痛などでも、とりあえずレントゲンを撮り、湿布をもらってくるだけという、およそその症状に直接対峙することのないともうけとれる治療行為が、一般的なものとなってしまったのです。
各地に断片的な技術として、あるいは言葉のみ残されていたこの「腱引き」を現代に蘇らせたのが、富士市にお住まいの小口昭宣先生です。小口先生はご自身の不調から偶然この技術に出会い、それを体系化、再編して、現在これを世に広めるべく活躍しておられます。
そして同じくこの「腱引き」に出会うことのできた私も、それを皆さまに知って頂き、よりよい日常を送って頂けるように願い、毎日精進しております。
それでは「腱引き」療法の特徴を、以下の5点から説明いたします。
1.からだは腱(筋肉)でつながっている
頭の先からつま先まで、大小さまざまな骨が組み合わさって、人間の骨格はできあがっています。
しかし、骨だけではからだを形づくることはできません。骨をからだの形にしているのは筋肉で、筋肉と骨の間は腱でつながっています。人間には600以上もの筋肉があり、筋肉と腱があることで、骨がからだの形になっています。
2.腱を正しい位置にもどすのが「腱引き」
腱や筋肉は運動、習慣、外から受けた衝撃で、収まっていた位置から外れたりねじれたりします。定位置にない筋肉は、普段より遠回りして骨を引っ張るので関節にも負担がかかります。そのため全身の骨格も歪み、故障をもたらす原因となります。腱を正しい位置にもどす腱引きは、他の療法に比べ、理にかなった方法と考えられます。
3.不調の原因はレントゲンには写らない
西洋医学やカイロプラクティックでは、関節が痛い場合に「レントゲンをとりましょう」となりますが、レントゲンに写るのは骨格だけです。
肝心の筋肉や腱のねじれもレントゲンには写りません。骨と骨は筋肉と腱がつないで形作っています。
腱を見ずに人体を観察しても、体の故障を取り除くことは出来ないといえるでしょう。
4.マッサージとは違う「腱引き」
腱引きは整体のように筋肉を押しているように見えますが、むしろ反対。腱を引く技術です。ピンと張られている腱を指先で引っかけるようにして弾き、刺激を与えるとともに、正しい位置に戻します。また、腱引きは筋肉を揉みません。筋肉は揉まれると、外れている腱を外へ外へと押し出したり、さらに強くねじれてしまうことがあります。
5.腱へのアプローチは一撃改善!
腱引き療法は「東洋医学」のひとつ。ゆるやかにからだの流れを整え自己治癒力を引き出す鍼灸、気、経絡などに比べ、直接的な方法。肉体、特に腱という根本的な原因にアプローチしますので「一撃改善」する例が多く見られます。
施術対象、方法、効果が明確な腱引きは、再現性の高い療法だといえます。